受験生の脳に潜む入試失敗の兆候、「思考の上滑り現象」とは?
受験はただの知識の競争ではありません。
実は、それは受験生の精神と脳の複雑な戦いでもあります。
特に注目すべき現象が、「思考の上滑り現象」です。
これは、受験生の脳内で、何としても成績を上げたいという欲望と、精神的に追い詰められた焦りの感情が化学反応を起こして、試験中に驚くほど浅い理解に留まってしまうことを指します。
しかも、恐ろしいことに、多くの場合、受験生本人は、そうした状態に陥っていることに気づいていないことも少なくないのです。
英語や国語の試験で生じる思考の上滑り現象
例えば、英語や国語の文章を読む際には、言葉の表面的な意味をつなぎ合わせて、浅い理解でお茶を濁す・・・。
もちろん、著者が文章に込めた深い意味は見逃してしまうのは当然です。
困るのは、こうした内容こそ、必ず試験で問われる重要なポイントですが、当然、上滑りした読解では、正しい答えは導き出せません。
さらに、そういう問いこそ配点が大きい。
失点の大きさは計り知れません。
数学の試験でも生じる思考の上滑り現象
こうした現象は、数学でも生じます。
数学では、本当は問題が理解できておらず、もう一段、深い理解に到れるように思考をめぐらす必要があるのに、それを怠り、表面的な計算に飛びついてしまいます。
やっていることは、もないを解く上では、まったく価値のない足し算引き算・・・。
でも、解答用紙が計算式で埋まっていくと、本当は無意味な計算式であっても、受験生本人は、「なんかできている・・・」と錯覚してしまうのです。
もちろん、完答できないだけでなく、通常、部分点さえ獲得できず、壊滅的な成績になることもよく起こします。
以上が、受験生の脳内で起こる「思考の上滑り現象」の典型的なパターンです。
問題の本質を見落とします。
思考の上滑り現象の原因は、脳の扁桃体の暴走!
この現象の根本的な原因は、受験ストレスによって脳の扁桃体が過剰に活動することにあります。
扁桃体は感情反応、特に恐怖やストレス反応に関わる脳の部分です。
受験のプレッシャーが増すにつれて、この部分の活動は激しくなり、結果的に集中力の低下や思考の浅さを引き起こします。
特に入試が近づくにつれ、これらの問題は悪化し、本番の試験で最大になる可能性があります。
思考の上滑り現象の脳医学的な対策!
では、この「思考の浮つき」をどう改善すればよいのでしょうか?
もし、あなたが受験生ではなく、特に成績を上げる必要もないということなら、思考の上滑り現象は、じっくり休息をとり、好きな趣味の時間を増やすなどすれば、ほとんどが解決します。
ただし、受験生の場合は、そんなことをしたら、かえって焦りが募り、扁桃体の過剰な活動を助長してしまうだけです。