崖から転落するように成績が悪化!
「思考の上滑り現象」が起きると、もともとは学力が高い受験生てあっても、入試の当日にかけて、崖から転落するように試験の点数が取れなくなります。
まさしく、受験生を地獄に叩き落す危険なワナだと言えるわけです。
だからこそ、焦り気味の受験生の皆さん、あるいは、そのご家族の方に、ぜひ、今の段階で、「思考の上滑り現象」が起きていないかチャックしていただきたいのです。
表面的な解釈でお茶を濁す心理!
では、「思考の上滑り」とは、どういう現象でしょうか?
受験生に典型的なのは、英語や国語の長文、課題文を読んでいる時に、表面的な事だけで解釈しようとしてしまうことです。
そこに出ているキーワードを適当につなぎ合わせるだけでも、それっぽい解釈を作り上げることはできますね。
頭の中では「著者はきっともっと深い事を意味して書いているのだろうな・・・」と気づきながらも、表面的な意味だけで済ましてしまう。
このように、ついつい表面的な解釈でお茶を濁してしまうということだったら、受験生なら誰だって経験があると思います。
受験ストレスで読解力が崩壊!
入試を突破する上で致命傷になるのは、受験生の脳が持っているストレスに対抗する力、つまりストレス耐性を受験ストレスが超えてしまった場合です。
脳内でそういった思考をしたくなる強い衝動が生じ、激しくこういう失点を繰り返してしまう危険な脳の症状があるということです。
これが「思考の上滑り」の危険な現象なのです。
数学でも起きる「思考の上滑り現象」
数学でも思考の上滑りは起ります。
例えば、問題文に書かれている数字を、ただ足したり引いたりして、それらしい計算をする…。
でも、心の奥底では
「数学の本質とは違うなぁ…。こんな足し算引き算をするだけではなく、公式を使い現象の本質に繋がるような事が問題になっているんだろうなぁ…」と、うっすらと気が付いている。
だけれども、心はそこに真正面から向き合うことは精神的にきついなと心の奥底で感じ、単純に足し引きしてそれらしい回答を出すことで、自分自身の気持ちに対してお茶を濁すわけです。
もちろん、これでは不正解です。
入試の本番で症状が極大化!
英語も国語も数学も、それらしい答えを出すのだけれども、結局、間違っているので0点になってしまいます。
これが「思考の上滑り」という現象です。
この「思考の上滑り」は、特に入試の本試験で起こりやすいので注意して頂きたいです。
普段の勉強よりも模擬試験を受けている時の方が思考の上滑りは起きやすく、模擬試験よりも本試験の方がさらに思考の上滑りは起きやすいのです。
原因は脳の扁桃体の暴走だった!
その理由が、脳科学の研究で明らかになりました。
根本的な原因は、脳の扁桃体という部分の過剰な活動による、集中力の低下にあったんです。
国語や英語の課題文をしっかり読み続けるためには、ねばり強く集中を維持しなくてはならないですよね。
ですが、脳がそれを出来ない状態になっている…。
なのに心がそれを認めたくないと、表面的な事だけで取り繕うことをしてしまうわけです。
数学も、本質に迫っていこうと思ったら粘り強く思考を続けなくてはならない。
けれども、脳の集中力がそれを許さない状態になっている…。
それを心が認めたくないと、無意識のうちに「もういいや、表面的な事だけで、なんとか、ごまかししちゃえ」といった形になる訳です。
入試の焦りが思考を上滑りを加速!
困るのは、こうした現象が、劇的に起こりやすくなるのが本番の試験会場だということです。
集中力が途切れた状態でも、普段の受験勉強の時であれば、ぼーっとして、やる気出ないよねっという事で表面化する事が多いのですね。
でも、本番の試験の場合は、なんとしても良い点数をとりたいという思いは非常に強いですね。
でも、一つ一つねばり強く集中を維持する事は出来ない。
結果どうなるかと言うと、上滑りした思考の状態で表面的に問題を解いていくわけです。
そうすると、確かに答案用紙は埋まりますが、これはゴマカシです。
自分をごまかしているだけで、採点者をごまかすことは出来ません。
結果として壊滅的な点数になり不合格になります。
扁桃体の暴走が招く「受験うつ」
さらに怖いのは、放置しておくと、これが病的なほど症状が重くなる場合が少なくないのです。
その状態が、「受験うつ」なんです。
なぜなら、脳内の扁桃体が暴走し、集中して思考するための前頭前野の機能を低下させる病気が、「受験うつ」そのものだからです。
実際、「思考の上滑り」は、「受験うつ」を診断する大事なチェックポイントになっています。
逆に言えば、仮に病的な「受験うつ」には至っていなくても、「思考の上滑り」をしてしまっている受験生は、「受験うつ」の前段階だと捉えることもできます。
だから、この場合も「受験うつ」の治療と同じことを行えば、脳の状態が改善し、成績のアップにつながるということです。
私のクリニックでは、こうした取り組みによって、毎年、多くの方を、第一志望や、場合によっては、それ以上の大学へ合格させることに成功しています。
「思考の上滑り」をしてしまっている方は、合格を勝ち取るため、まずは、以下の「受験うつ」の解説もお読みください。

✓ 「受験うつ(Exam Depressive Disorder)」とは、受験生が勉強のストレスなどで生じるうつ症状の総称です。2005年に当院院長の吉田たかよし医師が日本で初めて提唱し、「受験うつ どう克服し、合格をつかむか」(光文社新書)がベストセラーになったことなどで広く社会に浸透しました。
✓ 受験生の自覚症状として最も多いのは、集中力の低下です。勉強のストレスや不合格になるのではないかという不安によって、脳内で集中力を生み出す中枢が機能低下を起こすために生じます。
✓ 英語や国語の課題文が読み取れなくなるということも、「受験うつ」で頻発している症状です。脳内の扁桃体(Amygdala)が暴走すると、ワーキングメモリー(Working memory)の機能が悪化するため起こります。
✓ 「受験無気力症候群(Exam Apathy Syndrome)」を併発する方も多く、受験勉強を持続する能力が低下し、志望校への合格を阻む重大な原因になっています。
✓ 最新の脳科学とメンタル医学を総動員し、受験生のお一人お一人の脳の状態に最適な治療を行うことで、「受験うつ」が早期に軽快するだけでなく、脳機能がパワーアップするため、発病前より2ランク高い志望校に合格されるケースも少なくありません。
「受験うつ(Exam Depressive Disorder)」とは、受験生が、勉強のストレスや入試に落ちるのではないかという不安などにより生じる「うつ症状」です。
受験生に現れる症状は、とても多様で、受験生お一人お一人、苦しまれる症状は異なります。
以下が、「受験うつ」の症状として、よく見られるものです。
・集中力がでない!
・受験勉強のヤル気がでない!
・イライラして勉強を続けられない!
・気分が落ち込んで苦しい!
・文章を読み取る力が低下した!
・暗記しても記憶に残らない!
・夜は眠れない! 朝は起きられない!
上記の受験うつの様々な症状の中で、受験生ご本人が感じるのが最も多いのは、集中力の低下です。
うつ病になると、記憶力や思考力など、脳内の様々な認知機能が低下しますが、集中力の低下も、かなりの高い割合で生じます。
さらに、受験勉強が高度な集中力を要求するため、脳内で集中力を生み出す中枢が、とりわけダメージを受けやすいのです。
こうした症状が出ている方は、「受験うつ」の可能性があります。・・・・・