このような状態が続くと、脳の神経細胞のネットワークにヤル気を生み出せない性質が癖として定着し、そのまま、無気力症候群に移行してしまうこともあります。
親御様は、ぜひ、受験生の脳が勉強のヤル気を取り戻せるように、ただちに家庭環境を改善していただきたいです。
勉強の意欲を高めるために、ご家庭の環境の中で特に重要なのが、光の波長です。
波長が480ナノメートル前後の光は、光感受性網膜神経節細胞に働きかけ、脳を刺激する作用があることが実験データとして実証されています。
具体的には、ご家庭の光の環境を、どのように変えればいいのか?
そのとき、それにあわせ、どんなことに注意をすれば、受験生のヤル気がより高まってくれるのか?
受験生を志望校に合格させることを専門に診療する心療内科医としての経験をもとに、わかりやすくご紹介します。
家庭の照度を上げるとヤル気も上がる!
受験生の勉強のヤル気を蘇らせるために、480ナノメートル前後の光が効果的なのですが、その前に親御様に真っ先に取り組んでいただきたいことがあります。
それは、ご家庭の中の照度自体を上げることです。
照度とは、光の明るさのことです。
つまり、家庭の中を明るくすることが必要だということです。
もちろん、これは単なる精神論や説教ではありません。
脳医学的な明確な理由があります。
「受験生のお宅チェック」で見つかった問題点!
以前、私が理事長を努めている学習カウンセリング協会では、「受験生のお宅をチェック」という事業を行ったことがあります。
日本テレビやTBSの夕方のニュースで取り上げていただいたので、見てくださった方もいらっしゃるとお思いますが、私がスタッフを引き連れて、受験生のお宅を回り、脳医学の観点から家庭環境をチェックするというものです。
巡回した受験生のお宅の中で、最も多かった問題点が、部屋が暗いということでした。
光が脳に与える素晴らしい効果とは?
部屋の中の明るさを変えて、それが被験者の脳や行動に、どのような作用を与えるのか調べた、脳科学の実験が行われています。
その結果、脳は目に入ってくる光の強さ、つまり、部屋の明るさによって、脳の働き方そのものを変えていることが実証されたのです。
明るい環境に置かれた脳は、無意識のうちに、脳の中にあるヤル気のスイッチが入り、真面目にコツコツ頑張るモードに切り替わります。
一方、脳が暗い環境におかれると、真面目に頑張ることを放棄し、自分勝手な欲望を追求するように変わるのです。
暗い環境で脳に生じる恐ろしい効果!
実は、暗い環境に置かれると、脳が自分勝手な行動をとるモードに変わるということには、人類が生き残る上で、大きなメリットがあったのです。
原始社会では、暗い夜になると、自分勝手な脳の状態になったほうが、子孫をたくさん残すことができました。
こっそりと他人の食料を奪う・・・。
こっそりと他人の配偶者を奪う・・・。
原始社会でも倫理的には許されないことでしたが、暗い夜には発覚することは少なく、結果的に子孫が多く残りました。
こうして、このような遺伝子が人類の間で広がったわけです。
ただし、言うまでもないことですが、現代社会に生きる受験生にとっては、脳が自分勝手な欲望を暴走させることに、何らメリットはありません。
暗い環境でスマホ依存症に!
家庭の中を暗い環境にしておくと、受験生の脳の中でもこの仕組みが働き、自分勝手な欲望が抑えきれなくなります。
その結果、スマホやゲームといった、脳に快感を与える電子機器が手放せなくなるのです。
特に怖いのは、暗い環境で快楽を追求すると、脳の中では依存症状とよく似た状態になることです。
つまり、暗い中でスマホやゲームをしていると、毎日、毎日、脳は、よりスマホやゲームを求めるようになってしまうのです。
その結果、いずれ、スマホ依存症やゲーム依存症になってしまう危険があるわけです。
すでにそのような状態になっている人は、こちらのスマホ依存症の解説記事をご参照ください!
https://www.akamon-clinic.com/スマホうつ病-スマホ依存症/
波長が480ナノメートル前後の光が脳のヤル気を高める!
家庭を明るい環境にするため、 もちろん、窓は、光がたっぷりと差し込むようにしてください。
それに加えて、照明器具にも工夫が必要です。
より照度をあげるため、ルクス数が大きい照明器具が望ましいのですが、それに加えて、照明器具の光の種類の選択でも、受験生の意欲を高める上で大きな差が生じることが明らかになってきたのです。
結論から言えば、受験生のヤル気を高めるには、波長が480ナノメートル前後の青白い光を出す照明器具が効果的なのです。
脳が自分勝手な欲望を追求するのか、真面目にコツコツ頑張るのかは、目の網膜にある「光感受性網膜神経節細胞」への刺激で決まります。
これが波長が480ナノメートル前後の青白い光で、より効果的な作用が現れることが、実験結果として確認されています。
逆に、オレンジ色っぽい光は波長が長いので、脳への効果は大きくありません。
ご自宅の照明器具をチェックし、このようなタイプであれば、取り替えることをおすすめします。
480ナノメートルの光が意欲を高める秘密!
では、そもそも どうして人間の脳は 、どうして480ナノメートル の波長の光によって意欲を高めで仕組みになったのでしょうか ?
それは、人類が生き残るためにとても 奥深い意味がこめられていたのです。
本来、人間は夜明け前に目覚めて、食料を取りに行くという行動を起こすための意欲を高めないと、生きていくことができませんでした。
夜明け前は空が青白い光になりますね。
実は、この光が480ナノメートルの波長に近いのです。
夜明け前の光を敏感に感じることによって人間は脳の中で意欲を高めることによって生き残ってきたというわけです。
だから、勉強のやる気アップにも、こうした青白い光が、より効果的だというわけです。
部屋の整理整頓が受験生のヤル気を高める!
受験生の勉強のヤル気を蘇らせるために、親御様に次にやっていただきたいのが、部屋の整理整頓です。
勉強をしているときも、目はテキストを見ているだけではなく、周辺視野で、家庭環境の情報を無意識下で認識しています。
ヤル気を分析した研究では、周辺視野から様々な情報が入ってくると、脳はヤル気を持続できなくなる効果があることがわかりました。
つまり、部屋の中がいろんな物でゴチャゴチャしていると、仮に受験生が勉強を始めたとしても、すぐに勉強の意欲が消えていってしまう作用が出てしまうということです。
そうならないように、受験生のご家庭は、部屋の整理整頓をしっかり行い、見た目をできるだけシンプルに保つのが良いわけです。
受験生を孤立させない家庭環境に!
受験生の勉強のヤル気を回復させるために、もう一つ、親御様にやっていただきたいのは、受験生を精神的に孤立させない家庭環境に変えることです。
人間の脳は、他人の視線を感じると、無意識のうちに欲望の暴走を抑えようとする性質があることが、脳科学の研究で解明されました。
つまり逆に言えば、他人からは見えない孤立した環境に置かれると、欲望が暴走しやすくなるということです。
実際、多くの受験生が部屋に閉じこもってしまうと、たとえ初めは受験勉強を頑張ろうと思っていても、やがて欲望の衝動に負けてしまいまう・・・。
そして、気がついたらゲームやスマホばかりして時間が消費されてしまう・・・というのは、よくあることです。
反対に、家族の視線を感じる環境においてあげると、当初、いだいていた勉強のヤル気が、いつまでも持続してくれるわけです。
すでに受験無気力症候群になっている場合は?
受験生が勉強をサボるというのは、昔からあったことですが、今の受験生は、勉強をしなくなるだけでなく、その時間、スマホやゲームをしてしまいます。
その影響で、不自然な刺激が加わり「受験無気力症候群」になってしまう場合も多いのです。
この場合、志望校に合格するには、それに合わせた対策が必要です。
ぜひ、以下の解説も必ずご参照いただきたいと思います。
勉強のやる気が出ない場合は、「受験の燃え尽き症候群」の可能性もあります。
無気力を防ぐ親子の会話については、こちらをご参照ください。