受験とメンタル
受験を専門に診療している心療内科医として、受験生の皆さんに9月〜10月の時期に特にご自分の脳の状態についてセルフチェックをしていただきたいことがあります。
それは「記憶力」です。
この時期、受験ストレスや不安によるメンタルの問題から、記憶力に特徴的な変化が生じることが明らかになってきました。
記憶の3要素
一般に「記憶力」と言われるものは、医学的には以下の三つの段階から成り立っています。
記銘(Memorization)
保持(Retention)
想起(Retrieval)
これらの3つは、記憶の3要素と呼ばれています。
ストレスと記憶力の関係
ストレスが記憶力に悪影響を及ぼすことは、多くの方が予想できるでしょう。
しかし、この三つのプロセス全てを考慮に入れないと、記憶力の適切なコントロールは難しいのです。
特にストレスの影響を最も受けやすいのは「想起」の部分です。
脳の役割と記憶
「記憶」というと、「海の馬」と書いて「海馬」という部分がよく知られていますが、この部分はストレスに比較的強い性質を持っています。
一方で、「想起」は脳の前頭前野を主に利用して行われ、この部分はストレスや緊張に特に弱いのです。
睡眠の重要性
特に重要なのは夜の睡眠です。
夜間に短期記憶が長期記憶に変換され、その際に記憶のための「タグ」が付与されます。
このプロセスが不完全であると、前頭前野がストレスで少しでも低下すると、思い出す能力が極端に落ちてしまいます。
対策の必要性
ただし、受験ストレスがある一定の限度を超えると、想起だけでなく、記銘・保持も含めた三つのプロセス全体に影響が出ます。
この状態を「受験ストレス性記憶障害」と呼びます。
この段階になると、適切な対策を講じないと、志望校への合格は非常に困難になります。
詳しい対策は
記憶力が大幅に低下した場合の具体的な対策については、私のクリニックのホームページ「受験ストレスによる記憶力の低下!脳医学の対策で大幅成績アップ」で詳しく解説しています。
ぜひご一読ください。